【総説】小児片頭痛の臨床的特徴と診断
著者:樋口脳神経クリニック  樋口真秀
出展:西宮市医師会医学雑誌 Vol.14, 1-7:2009

はじめに
我が国の頭痛診療は主に脳神経外科と神経内科が対応するが、病院などの大規模医療機関では二次性頭痛(脳出血、脳腫瘍などの生命の危険を伴う器質性頭痛)が対象として重要視される傾向にある。一方、片頭痛や緊張型頭痛などの一次性頭痛に対する理解は医療側・患者側ともに今なお不十分と思われ、これらを対象とする診断・治療体制の充実と患者啓蒙が望まれる。一次性頭痛のうちでも、片頭痛はQOL(生活の質)への影響が大きい上に、15歳以上の日本国民における年間有病率が8.4%にのぼる重要疾患である。小児科領域においてもその重要性に変わりはない。国際頭痛学会 (IHS:1988年)の診断基準に従った小児片頭痛に関する諸報告を平均した結果、小児片頭痛の有病率は人口基盤で7.4 %であるが、頭痛クリニック基盤での全頭痛患児における片頭痛の割合は53.3 %となった。すなわち小児が慢性頭痛を主訴に頭痛外来を受診する場合、その最も多い原因は片頭痛であるといえる。しかし、小児片頭痛は成人例と比較して症状が多彩で病像に特異な点も多いため、その診断・治療に際し、プライマリケア医はもちろんのこと、専門医ですら対応に苦慮する場合がある。小児頭痛診療の一般論ならびに治療法に関しては、先に刊行された日医雑誌における藤田の解説が詳しい。そこで本稿では、小児片頭痛の特異な病像と最近の話題について述べる。

1) 小児片頭痛の初期診断に際して 
2) 学校生活との関連 
3) 睡眠の重要性
4) 腹部症状と腹部片頭痛
5) 視覚異常と脳底型片頭痛 (Basilar-type migraine)
6) 副鼻腔炎による頭痛と副鼻腔頭痛 (Sinus headache)
7) 食事との関連
8) 長期予後







脳神経外科(脳外科)・神経内科・頭痛外来の樋口脳神経クリニックには、兵庫県の阪神間 (西宮、芦屋、尼崎、宝塚、伊丹、川西)、神戸市や大阪府下の広範囲から患者さんが受診されます。主な対象疾患は、頭痛、特に片頭痛 (偏頭痛)、緊張型頭痛 (筋収縮性頭痛、筋緊張性頭痛)、群発頭痛です。さらに、高血圧の治療、脳卒中 (脳梗塞、脳出血)の予防に対応します。院長の樋口真秀は大阪大学医学部を卒業した「脳神経外科の専門医」であり、日本頭痛学会より認定された「頭痛専門医」です。