日常臨床において最も多く遭遇する薬物乱用頭痛は,「鎮痛薬による薬物乱用頭痛」です。さらに近年,エルゴタミン製剤に代わって「トリプタン製剤による薬物乱用頭痛」の発症増加が懸念されています。薬物乱用頭痛は一旦発症すると生活の質を大きく低下させるため、まずは薬物乱用頭痛の発症予防、すなわち頭痛患者の薬物乱用を見落とさず、新規の薬物乱用頭痛患者を作らないことが重要です。
 薬物乱用頭痛の発症に関与しやすいのは,「一定の休薬期間がなく毎週 2日以上の服薬」というパターンが頻繁かつ定期的に行われた結果,トリプタン製剤なら「1ヵ月間に10日以上の薬物使用」という基準を満たす場合です。この「毎週 2日以上の服薬を複数週にわたって繰り返す」という行為は看過されやすいため要注意です。なお,治療薬の単なる乱用行為があっても,頭痛の性状変化や頻度・強度の悪化がない段階では,診断基準を満たさず,薬物乱用頭痛に該当しません。
 過去の報告による乱用薬物別の性状比較では,「鎮痛薬による薬物乱用頭痛」は全例が緊張型頭痛様の性状でしたが,「トリプタン製剤による薬物乱用頭痛」の頭痛の性状は,従来から存在する片頭痛の強度や頻度の増悪として発現する例が約3分の2を占めていました。また「トリプタン製剤による薬物乱用頭痛」は他剤による薬物乱用頭痛よりも早期かつ低服薬頻度/月で発症していました。
 「トリプタン製剤による薬物乱用頭痛」は「鎮痛薬による薬物乱用頭痛」と比較して,①早期かつ低服薬頻度/月で発症し,②片頭痛の性状を変化させずに頻度と強度を悪化させ,③離脱成功までの期間が短い,という特徴があります。これらの臨床知見は,「トリプタン製剤による薬物乱用頭痛」と「鎮痛薬による薬物乱用頭痛」との異なる発症機序を示唆しています。











脳神経外科(脳外科)・神経内科・頭痛外来の樋口脳神経クリニックには、兵庫県の阪神間 (西宮、芦屋、尼崎、宝塚、伊丹、川西)、神戸市や大阪府下の広範囲から患者さんが受診されます。主な対象疾患は、頭痛、特に片頭痛 (偏頭痛)、緊張型頭痛 (筋収縮性頭痛、筋緊張性頭痛)、群発頭痛です。さらに、高血圧の治療、脳卒中 (脳梗塞、脳出血)の予防に対応します。院長の樋口真秀は大阪大学医学部を卒業した「脳神経外科の専門医」であり、日本頭痛学会より認定された「頭痛専門医」です。